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或る詩謡い人形の記録『夕刻の夫婦』 / 青磁

或る詩謡い人形の記録『夕刻の夫婦』 / 青磁の歌詞

とある小さな村に
白き髪 白き肌 男の科学者がいた
病弱な 彼 助ける妻
対なる子供たちと 静かに暮らす

決して裕福では なかったけど
幸せだと… 断言 出来ると
笑っていたあの日

「覚えてる?」

男には家族を抱きしめる
この腕だけあればいい 他には何もいらないとさえも
美しい深紅の妻の瞳を眺めながら
唯 思ってた ささやかな一コマを

今は唯 黄昏色染まる部屋の中で思い出す
小さくささやかな幸せの日
本当はいらないこの才能 故
強要された凶行に 腕黒く染め上げ嘆く

やがて空は… 闇へ

冷酷な王は彼に 沢山の命たち 瞬く間に滅ぼせる
武器を作れと命じてるが 首を縦に振ること だけは出来ない!

子供を抱えた 妻の腕を引き 逃げ出した
聞こえる 足音
彼ら追う 剣を…  持つ王の盲信者!《女》

振り上げた凶器は 容赦なく男の全てを
簡単に 奪い尽くして 紅く嗤う
光り失くした妻 連れ去られた子供たち
全てこの腕と共に 切り裂かれ 失くした

「何故これほどまでに 追い込まれ 奪われねばならぬのか…」
低い声で男は言い放つ…
「次は僕が奪う まずは腕 次に光」
「そして全ての人々の幸せ 奪い去る」

心の中に誰もが持つは 嗚呼 禍々しき 黒き門
憎しみと怒りを封じたそれを 一度開ければ もう戻れない…
悲鳴を上げて崩れ去る門 優しき彼は もういない
生み出す紅は妻の瞳の色 安堵さえした 狂気の道筋

道行く者から 腕を眼をもぎ取り 自らの体に
白を染める 紅
全てを奪った 祖国を滅ぼし
なおも止まらぬ 憎しみ持て余す

黄昏時 ふらり現れる 白と赤の若き男女に
「小さな子供を 知りませんか?」と
訊かれたならば それは彼の夫婦

男の腕は 魔物の様に
爪が長く 大きい 鋭い手

今なお腕と眼をもぎながら
徘徊をし続けているらしい…

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